それでもキミと、愛にならない恋をしたい


去年創立二十周年だったらしく、比較的新しいコンクリート造りの校舎は綺麗だし、制服も紺のブレザーにグリーンのチェックのプリーツスカートでかわいいと評判だ。受験の時に調べた情報によると、この制服が着たくてうちの学校を選ぶ子も多いんだとか。

靴箱で革靴に履き替え、北校舎を出て南校舎を抜ける。職員用駐車場の向かいにある別館に入ると、右手にある講堂の扉の奥から演劇部が稽古をしている声がかすかに聞こえた。

反対の左側に歩いて図書室に入り、すっかり定位置になった一番奥の机にスクールバッグを置く。

下校時間ギリギリまでこの図書室で時間を潰すのが私の日課だった。

静かで利用する人も少ないし、ひとりで課題を済ませるのにちょうどいい場所だ。

(今日は数Ⅰと古典か。数学わかんないし、古典の訳からやっちゃおうかな)

今日の課題は伊勢物語の現代語訳。勝手知ったるなんとやらで古典の本棚へ向かい、伊勢物語を解説している本を何冊か取り出して席に戻る。図書室を利用するようになって初めて知った。ここは古文や漢文の答えの宝庫だ。

すると、ちょうど図書室の扉が開き、佐々木先輩が入ってきた。