辛くて、悲しくて、もどかしくて、絶望していた。
結婚は永遠の愛を誓うものだと思っていたのに、それは相手が亡くなったら途切れてしまう程度の気持ちだったのかと、お父さんに失望してしまった。
けれどそれと同時に、私自身もお母さんを思い出す日が減っているのに気がついた。
亡くなった当初はあんなにも悲しくて、世界が終わったかのように感じて、毎日泣いていたのに。大好きだったお母さんを忘れるなんて、あってはならないのに。
だから再婚にも、なにも言えなかった。ただこれからは、絶対にお母さんのことを忘れないようにしないと、と強く思った。一種の罪悪感にも似た感情だ。
お父さんにも、親友の京ちゃんにも打ち明けられなかったこの気持ちを、まさか楓先輩に知られていただなんて。
私は絶句したまま先輩の瞳を見続ける。
家族の幸せを素直に祝えない私を、お母さんを亡くした悲しみを忘れかけていた薄情な私をどう思ったのか、不安で仕方がない。



