それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 人の心が、読める……?

 一瞬、なにを言っているのかわからなかった。

 現実味のない話に、私はただ先輩を見つめた。

「なんでそんなことができるのか、俺自身にもわからない。たぶん生まれつきだと思う。相手に触れると、その人が心の中で思ってることがわかる」

 彼の膝の上の手は強く握られ、拳には血管が浮いている。どれだけ緊張して話しているのかが伝わってきて、私は息をのんだ。

 嘘じゃない。そう思った。

 小学校入学前にはこの能力が、自分が、普通ではないと気付いたと先輩は語った。

 物心ついて以降、両親から抱き締められた記憶がないとも。