沈んでいく太陽とは反対に、頂上を目指して上がっていくゴンドラからは、三百六十度すべてを見渡せる大パノラマが広がっている。
密室の気まずさなど忘れて、目の前の美しい景観に見惚れた私は感嘆のため息をついた。
「きれい……」
それしか言葉がでないほど、光輝く景色に圧倒された。
隣で同じように窓の外の景色を眺めていた楓先輩が、スッと身体を引いてシートに座りなおしたのを気配で感じた。
「菜々に、聞いてほしい話があるんだ」
真剣な声音に、私の意識は景色から先輩へと移る。静かな口調だけど、いつもの雰囲気とはまるで違う。ドクン、と身体中を震わすほど心臓が大きく鼓動した。
私が緊張気味に彼の言葉を待つ中、先輩は一度大きく深呼吸をすると、意を決したように口を開く。
「俺、触れた人の心が読めるんだ」



