それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 なんとなく右側のシートに座ると、楓先輩は私の向かい側ではなく、隣に座った。

「えっ!」
「え?」

 思わず大きな声を出してしまったけど、先輩は平然としている。

 あれ? ふたりで乗る時に、向かい合わせじゃなくて隣同士に座るのは普通なの? そういうのって、付き合ってるカップルとかがするものだと思ってたんだけど。

「菜々。窓の外見て」

 鼓動は限界まで速まり、頭は色々考えすぎてショートしたようで、私はロボットのようにぎこちない動きで身体ごと窓の方を向いた。

 私たちを乗せたゴンドラが、ゆっくりと地上から離れていく。

 夜になりきる前のライトアップされた街並みはとても幻想的で、一瞬で心を奪われた。