奢る気満々だったのに、すげなく断られてしまった。
でも、きっと今このタイミングが、さりげなく話の流れで聞けるチャンスだ。
『じゃあ、先輩はどういうつもりで誘ってくれたんですか?』
そう聞けば、もしかしたら望んでいる答えが返ってくるかもしれない。ずっと心の中で燻っている淡い期待が一気に花開く時を待ちわびている。
それなのに。
「……じゃあ、せめて他になにかお礼がしたいです」
意気地なしの私は、違う話題を振ってしまった。どうしてもストレートに聞く勇気が持てなかった。
「私、小テスト含めても数学で八十点取ったの初めてです。それは間違いなく教えてくれた先輩のおかげだから」
「たしかに解くコツを教えたけど、頑張ったのは菜々だろ」
「でも」
「いいから。礼をもらったら、今度から勉強教えにくい。それ目当てみたいに思われんのも嫌だし」



