まことは中学二年になった。
 まことは街を学ランを着て歩いていた。と、中学生の男子が5人の不良に絡まれているのを見た。ショートヘアの学ランを来た男の子だった。目は切れ長で美しかった。まことは見とれた。
 いかつい不良に囲まれていた。
 「あ、あのう、話し合いませんか」
 と、ショートヘアの男子。
 「はあ、さっさと金出せよ」
 「いや、だから話し合いを」
 「おい」
 といって、まことは出て行った。
 「ん、なんだ、てめえ」
 「おい、たった独りに大の男がなんだよ」
 と、まこと。
 「なにい」
 「このLGBTQやろう」
 「何、今、LGBTQを蔑視する発言しなかったか」
 と、まこと。
 「はあ、LGBTQってなんなんだよ」
 「え」
 と、まこと。
 「あは、LGBTQっていうのは、L、レズビアン、G、ゲイ、B、バイセクシャル、T、トランスジェンダー、Q、クエスチョンの頭文字だよ」
 と、ショートカットの男子。
 まことは片手を後頭部にやった。
 「あ、なあんだ、そうか」
 「はあ、てめえ、なめてんのか」
 と、不良はショートカットの男子にいった。
 「あ、いやあ、LGBTQが何か聞くから」
 「あ、いや、だからそれがなめてるっていってんの」
 「ええええええええ」
 と、ショートカットの男子。
 「てめえ、暴力ふるう気か」
 と、まこと。
 「なんならてめえでもいいんだぜ」
 「望むところだ」
 不良はまことを取り囲んだ。
 「いくぞ」
 「来い」
 と、まこと。
 不良が一斉にまことにつかかった。まことはあっというまに5人ともやっつけた。
 「覚えてれよ」
 不良は逃げて行った。
 「ありがとう」
 と、ショートカットの男子。
 「あ、いやあ」
 と、まことは片手を後頭部にやった。
 「いやあ、女の子なのに強いね」
 「え」
 「女の子じゃないの?」
 「あ、ああ。でもなんで」
 「なんでって、見たらわかるよ。顔つきとか肌とか、体つきや、みのこなしとか」
 「えええええええ」
 男子は笑った。
 「最初っから女ってわかられたの、二度目」
 「へえ、そうなんだ」
 と、男子。
 「僕は雪野真冬っていうんだ」
 「あ、私はあ、天音まことっていう」
 「まことさんかあ」
 「え」
 「あれ、ごめん、だめだった」
 「あ、ああ、いいよ、まことで」
 真冬はにこっと笑った。
 「そうか。じゃあ、まことさんで」
 「じゃ、じゃあ私も真冬君って呼んでいいかなあ」
 「いいよ」
 「じゃ、じゃあ真冬君で」
 「ははは」
 真冬は中学1年生だった。