あたしは、またみんなと一緒になって笑いたい。

そして慧斗の傍にいたいよ。
あたしに居場所を与えてくれた大切なひと。


だけど慧斗はあたしを通り越した先の瞳さんを見ている。

だったら、あたしは誰?
あたしは慧斗のなに?


この手で触れて確かめたい。


「綾子さんは?彼女と話がしたい」

「……さぁ。あの人の行動はほんと把握できない……」

「そっか、ありがとう。じゃあ、あたし探してくるよ」

あたしは後ろを向いてリビングから出ようとドアノブに手をかけた。

「りく!」

「ん?」

突然の呼び声に、振り返ると玲が心配そうにこちらを見ていた。

「無理はするな。何かあったらすぐに俺に言え」

「ありがとう。……じゃあ、いってきます」


あたしは綾子さんを探すために702号室を離れた。