SENTIMENTALISM



泣き叫ぶあたしを、玲は黙って中にいれてくれた。

リビングに通されて、何を言うわけでもなく二人してその場に立ち尽くす。


懐かしい匂い。
冷たいフローリングの感触。
変わらない場所にあるソファ。
今にでも、梨紗と慧斗と綾子さんが帰ってきそうな気がした。

あの頃と何も変わらないこの場所に立つと、みんなの笑い声が蘇ってきて泣きそうになる。




「……梨紗から何きいたんだよ?」

「ユキノ ヒトミさん……。慧斗の恋人で、飛び降りて今は意識不明だって……」