あたしは、走り出した。
カヤの外から、世界に参加するために。
掴んだものを、放さないために。
風をきるように走って、自分が学校を抜け出したことにも気がついていなかった。
息をきらしながら、二週間ぶりに慧斗の部屋の前にたつ。
このドアを開けると、つい最近まで明るい笑い声があったはずなのに。
『お前はもう来ない方がいい』
この場所に立つと、最後の玲の言葉が、鮮明に蘇ってくる。
そして、それがあたしの勢いを収縮させていくのだった。
もうあたしのことなんて忘れられていて、追い返されたらと思うと、息がつまりそうだ。
緊張でインターホンを押す指が震える。
しかし、ここで何時間も立ち止まっているわけにもいかず、息をのんでインターホンを押した。



