「あー、今日。寒いねー」


他愛もない話を始めた梨紗は振り返らない。

梨紗の後ろ姿を見つめながら、久しぶりに会う梨紗を前にあたしはたくさん話したいことがありすぎて収拾がつかずに何も言えずにいる。


「こういう寒い日には人恋しくなったりするよねー。なーんて」

「……梨紗…」


名前を呼んでみたけれど、梨紗は少し黙っただけで振り返ろうとはしない。