「あ、なんか飲む?まぁ適当に座れよ」 「……あっ…うん」 「りく!こっち!」 あたしは梨紗に引っ張られるがまま、テーブルを前にして正座した。 エレベーターの中では帰りたい気持ちでいっぱいだったのに、今ではすっかり二人のペースに流されている。 梨紗も慧斗も、今まで出会ったことのないタイプの人間だ。 良いことも、悪いことも決して取り繕おうとしない。 ただ、ありのまま。 人を騙すことを肯定するつもりはないが 欺瞞や嘘に塗れたこの世界よりも、この部屋の中の方が信用できるような気がした。