SENTIMENTALISM



「慧斗ー!きたよー!」

702号室の扉を勢いよく開けたと同時に梨紗は乱雑にローファーを脱ぎすて、中に上がり込んでいく。

そんな梨紗を見て、あたしはまず顔だけを扉からのぞかせて蚊の鳴くような小さな声でオジャマシマスと言い、あたりをキョロキョロしながら梨紗のあとについていく。

玄関にはいって真っ直ぐな廊下を歩き、リビングの扉をあけると

ソファーに寝転がっている男が顔だけをこちらに向けた。

「おー、梨紗じゃん」


鼻筋の通った顔と
アシメにした髪形がよく似合っている。
耳にはいくつものピアスが光っていた。