ぼんやり二人を見ていたあたしと、慧斗の視線が重なる。 すると慧斗は軽く会釈するかのように柔らかく微笑んだ。 その笑顔が、優しくて切なくて胸がズキリと痛んだ。 どうして笑えるの?どうして抱きしめられるの? 消えない傷があるはずなのに、どうしてそれにさえも気付かないフリをしているの?