『春樹はねぇ素直でいい子なんだけど、りくは何考えてるかわからないわ』 そう言って、夜中にお母さんがお父さんに溜息をついているのを偶然聞いてしまった。 『子供は一人で良かったわね。お金かかるし。春樹だけで充分よ』 部屋で寝ていると、リビングから聞こえてきたお母さんの声は暗く重く あたしの価値が褪せていくのがわかった。 春樹より上のランクの高校いっても 良い大学を目指して、テストで常に上位でも あたしは春樹と同じにはなれなかった。 頑張っても どんなに頑張っても 無理なことはあるみたい。