SENTIMENTALISM



綾子さんはゆっくり立ち上がって、窓から雨がしたたるのを眺める。

その横顔はぞっとするほど美しい。

「……瞳が許せなかった。慧斗がいなくなったらあたしには何も残らないから。……慧斗に近付いてくるヤツなんて、みんな要らないの」


綾子さんの妖しげな微笑みに背筋が凍った。
スカートの上でつくった拳に自然と力がはいる。