「右上のラメが強いゴールドをまぶたの中央に乗せると、グッと華やかさや可愛らしさが際立ちます。なので会社を出る時に指でこうしてぽんぽんとするだけで、オフ仕様のメイクに様変わりします。合わせて少しアイラインのように締め色を強めに引くと、さらに印象的な目元になります」

凛は鏡を食い入るように見つめた。いつも薄化粧の自分が見違えるように変身していく様子は、やはりコスメの魔法だと胸が高鳴る。

「最後に、一番の目玉にしたいのがこちらのリップです。全十六色あり、さらにそれぞれツヤを抑えたマットリップと光沢感のあるツヤと潤いが特徴のラスティングリップがあります。最大のポイントは色持ちのよさと色移りしにくさで、キャッチコピーや広告などもその点を最大限に押し出したものにする予定です」
「立花さんの雰囲気ならツヤツヤな唇に仕上げたほうが可愛らしさが引き立ちますし、ラスティングリップにしましょうか。お色味はそうですね、四番か十一番か……」

カチャカチャと音を立てながらリップの色を選んでいた島田の手元を覗き込み、亮介が尋ねた。

「サンプルは全色あるのか?」
「はい、ございます。あとは百貨店やバラエティショップとタイアップの限定色を作る予定ですが、そちらはまだあがっていないので、通常販売のもののみですが」
「パッケージもまだサンプルですが、高級感はありつつシンプル過ぎないデザインに仕上がったと思います」