捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした


「ふっ、副社長っ? あの、一体どういうことでしょう?」
「いいから。とにかく着てみてくれ」

彼の意図がまったくわからないが、上司に言われては真面目な秘書の凛は断ることはできない。

嬉々として大量の服をコーディネートし始めた数名のスタッフに代わる代わる着替えさせられ、そのたびに亮介を呼んでお披露目し、彼の感想をもらうのを繰り返す。

「あぁ、これもいいな。さっきのワンピースも可愛かったが、パンツスタイルもよく似合っている」
「……ありがとう、ございます」

一体これはどういう状況なのか?

凛の混乱はますます深まっていく。これまでの冷静沈着な亮介の印象とは違い、柔らかく微笑まれたらどうしていいのかわからず、身の置き所がない。

さらに困ってしまうのは、初めて見るその表情に、凛自身がドキドキしてしまっていることだ。

重役秘書が仕える上司に懸想するなんて、そんなの許されるはずがない。