捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした


落ち着いた淡いピンク色の壁に、ヴィンテージ風のポスターが白色や金色の額縁に入れて飾られており、天井には小さなシャンデリアがいくつも吊るされている。

いかにも女性の夢を詰め込んだ可愛らしく華やかな店内には数名の女性客がおり、各々買い物を楽しんでいた。

(わぁ……! やっぱりソルシエールの服って可愛い。お店の雰囲気ともぴったりだし、ブランドコンセプトがぶれないって大切だな)

什器や棚だけでなくインテリアのソファに至るまで白色で統一されており、お姫様の部屋をイメージしているのがよくわかる。

凛の真面目な秘書の仮面が剥がれ、そわそわと店内を見回した。その様子を亮介がじっと見つめているのにも気付かない。

(ここの服を着たら、どんなメイクがいいかな。清楚なピンクメイクはもちろんだけど、ヌーディーメイクにリップだけ鮮やかな赤を入れたり、カーキのアイシャドウとアイラインで目元を涼しげにしても映えそう)

元々リュミエールの企画部を志望していた凛は、色彩検定やカラーコーディネーター検定を受験したり、流行のメイクを研究するなど、メイクについて学ぶのが好きだ。

秘書業務でもたくさんのコスメに触れる機会があるため、可愛らしく洗練されたパッケージに心が躍る。

本来可愛いもの好きの凛にとって、コスメはリュミエール、アパレルはソルシエールが昔から憧れのブランドだった。