捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした


これまで見せていた珍しくはしゃいだような亮介の様子が一転、目を細めてゆっくりと凛のサイドの髪を撫でて耳にかける。ガラッと変わった彼の雰囲気に気圧され、凛は息をのんだ。

亮介の親指がつうっと下唇の縁をなぞる。男の色気溢れる視線と手つきに煽られ、思わずはぁっと熱い吐息を零した。

「……ラスターの十二番?」

亮介がじっと唇に視線を注いだまま問いかけてきたのに対し、凛は彼から視線を外さないままこくんと頷く。

今日のメイクの仕上げとなるリップの色は、最初から悩まなかった。

「これが、私の一番のお気に入りですから」

副社長室で凛をモデルにサンプルを試した際、亮介が選んでくれた色だ。彼も覚えていたようで嬉しそうに口角を上げた。

「まだ落ちていないな」

あの日と同じセリフを口にしながらゆっくりと覆いかぶさり、顔を近づけてくる。

「試してもいいか?」

そして、亮介は凛の返事を待たず唇を重ねた。