「いえ、パーティーの運営はほとんどグループが担当してくださったので。でも楽しんでいただけてよかったです。それよりも、あの、ビックリしました」
まさかサプライズで仕切り直しのプロポーズをされるなど、思ってもみなかった。
凛は結婚後も旧姓で働くつもりで、秘書室の人間以外に亮介の結婚相手が自分だと告げる予定はなかったため、まさに寝耳に水の出来事だった。
「……悪い、もしかして嫌だったか?」
「まさか。驚きましたが、とても嬉しかったです」
困惑したが、嬉しくないわけがない。
あの後、秘書室以外の社員から怒涛の質問攻めにあい、双子からは「リアル王子様のプロポーズじゃん!」とテンション高くからかわれ、普段秘書としてパーティーの補佐についている以上に疲労を感じている。
けれどみんな一様におめでとうと祝いの言葉を口にし、ネガティブな反応を見せる者はいなかった。
たくさんの人に婚約を祝福され、黒子の立場でありながら目立ってしまったのは少し恥ずかしかったけれど、泣いてしまいそうなほど嬉しかった。



