捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした


亮介は双子に真摯にブランドのよさを説明し、サンプルを渡して、実際にいいと思ったら契約してほしいと伝えた。

『お姉さんが勤めている会社だとか、結婚相手だとか、そういった事情は一切抜きで考えてもらって構わない。断ったからといって決して不利益なことはしないと約束する。学生である君たちの世代に向けて、可愛いと思ってもらえるか、この値段を出して買う価値があるのか、試してみてほしい。実際に買って使いたいと思ってもらえたら、ぜひプロモーションをお願いしたい』

まだ高校生ということで金銭の絡むやりとりを懸念していた凛だが、相手が亮介ならばおかしなことにならないと確信し、本人たちに任せることにした。

実際よく間違えられるほど瓜ふたつの寧々と美々だが、好みは多少違う。

それぞれが選んだ同じ商品の違うカラーでメイクすると、面白いほど印象が変わった。

双子はオハイアリイのコスメを絶賛し、契約が成立。このパーティーにも招待され、会場の様子を自分たちでカメラを回している。今日撮った映像は編集し、リュミエールの広報で確認し、問題なければプレスリリース直後に配信する予定らしい。

本来なら社外の人間は来週行われる記念レセプションへ招待するのだが、取引先や著名人などが多く形式張っているため、学生の寧々と美々は今日のパーティーへ招くこととなった。

「展示ブース、すごい人だね」

寧々の言葉でブースに視線を走らせると、その人だかりの中央には亮介がいた。無表情に見えるが、社員の新ブランドへの関心の高さに満足そうにしているのが凛にはわかる。