捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした


みるみる険しくなる彼の表情を見て、状況がよくないのだとわかった。

「この発信日はいつだ?」
「今日の午後二時なので、約四十分ほど前です。すでにネットニュースには取り上げられていて、SNSでも一部のコスメ好きな女性の間で話題に上っているようです」
「立花。ネットで美堂、クリエ、リニューアルで検索してみてくれ」
「はい」

全く話についていけなかった凛だが、亮介の指示に従いパソコンに検索ワードを打ち込む。凛だけでなく、その場にいた他の秘書たちも気になったのか自分のパソコンやスマホで検索していた。

一番上の記事をタップすると【『クリエ』来春に向けてコンセプト一新の大幅リニューアル】というニュースが報じられていた。美堂は既存ブランドのテコ入れとして、クリエの商品を大幅に改良するとプレスリリースを配信したようだ。

「え、これって……」

凛はそのニュースを読み、驚きに目を瞠った。クリエが打ち出したリニューアル後のブランドコンセプトやビジュアルイメージが、現在亮介主導で作っているリュミエールの新ブランドと酷似していたのだ。

ニュースサイトからリンク先の美堂のホームページへ飛んで画像をクリックすると、アイシャドウやリップのイメージ画像は、リュミエールで開発したパッケージの色や形がそっくりで、リップは百貨店だけでなくバラエティショップとタイアップして限定色を出すという販促手段までリュミエールと被っている。

さらに価格帯も同じくデパコスとプチプラの中間で、クリエの方が僅かに下回る設定になっていた。