ダイニングルームに入ると、いつものテーブルをどこかに片付けたらしく、そこはダンスフロアへと様変わりしていた。



(う…わぁっ、キラッキラだ…!予想はしてたけど、それも遥かに超えてくるレベルだな…。)



まばゆい光を放つシャンデリア、繊細な刺繍がされてある垂れ幕…。

異世界のようなダンスホールは、わたしの胸を高鳴らせた。



「苑ちゃん、煌も、こっちこっちー!ご飯もいっぱいあるよ!」



怜くんがわたしを呼ぶ。



(うわ、ほんとにいっぱい…これ、三人で食べきれるかな…)

「苑、飯より先に俺と踊ろう。さっきから待ち遠しくてたまらない。」

「うわ、煌、ジョーネツテキぃ」



怜くんが冷やかしの声を入れる。



「けど…苑ちゃんがそんなに煌のことばっか見てたら、僕泣いちゃうよ?」



さっきとは打って変わった、少し濡れたような妖しい流し目で、怜くんがわたしのことを見てくる。

不意にどきっとさせられたことを隠しながら、言葉を継ぐ。



「…っ、そんなことないよ!」

「いや__苑は、俺のことだけ見てればいい。俺の手を取って、苑。」



その言葉とともに、煌くんに腰に手を回される。



「うん…!」



煌くんがわたしと手と手を重ね合わせ、わたしの腰に手を当ててステップを軽やかに踏みだす。

怜くんが生暖かい目でみてくるのが感じられたが、それに気づいた頃には、わたしはすでに煌くんとのどこまでも楽しいダンスに気を取られていて、あまり気にならなかった。