「ユイ!!」 私を呼ぶ声。 なんで? どうして? このタイミングで… この場所に… タクマがいる事が信じられなくて… 私はその時の一瞬の出来事を、一人だけスローモンションの様に感じた。 タクマが、私を路地裏に連れ込む男の肩を掴んで、一発でノックアウトさせたから。 男の悲痛な叫び声を聞き付けた近くの家の人が通報して、駆け付けた警察官に連行されて行った。 その警察官に事情を説明してる間も、タクマはずっと私の手を握っていてくれた。 私の全身をただ、そっと包み込む様に。