カタッ―
ドアを目の前にして、タクマの右手がドアノブに置いた私の手を止めた。
「タ…クマ?」
「…俺から離れていかないで。」
「タクマ、だから…もう…」
「ユイが戻ってくるなら、俺は彼女と別れる。」
タクマの言葉が私の言葉を遮った。
私の肩におでこを乗せるから…
背中でタクマの体温を感じて私は…
もう少し
あと少しだけでいいからこうして居たいなんて思ってしまう。
「何言ってるの。せっかく出来た彼女を…。」
「ユイの代わりだよ。俺はユイ以外欲しくない。」
「………」
「もうずっと前から、俺の気持ち分かってるよね?どうして正面で向き合ってくれないの?」

