「え?…タクマ、鍵忘れたの?」



用意周到なタクマが鍵を忘れるなんて。



「忘れた。ユイ、早く開けて?」



もう春が近いけど、今日はやけに冷える事を思い出して、私は慌てて一階の玄関に向かう。




カチャリ―



ドアを開けると、フラフラと、私に持たれかかるタクマが現れた。



「ちょ…っ、お酒臭い〜。」


「飲んできた。」



クスッと笑う酔っぱらいのタクマが、またまた可愛いくて、愛しくなる。



「子供がお酒なんか飲んじゃダメでしょ。」



タメ息をつきながらタクマを何とか部屋に連れて行く。






「お水持ってくるね?」



ベッドに寝転んでうなってるタクマに声をかけて部屋を出ようとした時…







「俺、彼女出来たから。今日は初デート。」




ズキン。



「そう。良かったね。」