静まり返ったタクマの部屋。


ベッドから起き上がって、服を着直す。


タクマの体、冷たかった。




「部屋に戻る?」



タクマが後ろから私を包み込むから、泣きそうになる。



また、しちゃった。



せっかく離れてたのに。



朝の天使みたいな笑顔と違う、夜の悪魔が私を誘う。



「ずっと外で待ってたの?」


「ユイが連絡返してくれないから。」



タクマが私の肩に、そっとキスをする。



「何かあったらすぐに駆けつけられるように…。俺はユイを守るんだ。約束したよね。」




優しいタクマ。



子供の頃の約束をずっと守ろうとしてる。



でも、その約束は…もう果たさなくていいから。




「もぅ…こんな事は今日で最後ね。私、あの人と付き合うから。」



一瞬の沈黙の後、タクマが私の肩を掴んで自分の方へ向かせた。


「ユイ!?…何言ってるんだよ。本気?俺はどうなるの…?」



「………本気だよ。私達、付き合ってる訳じゃないよね?だからもう、タクマとは一緒に居れない。」



「…。」