深雪くんと運命の恋



 失恋したばかりでまだまだ前なんか向く余裕がなくて、必死に泣かないように堪えてたのに。

 私って単純すぎるかな?

 もう深雪くんにときめいちゃってる。


――リーーンゴーーン……


 イルミネーションの光に包まれる中、鐘の音が響き渡る。

 まるで運命の恋のはじまりを告げるような、そんな音色だった。


「さて、帰りますか」

「!?」


 えっ、えっ、ちょっと待って!?


「なんで手繋いだの!?」

「ダメですか?」

「ダメってゆうか、その……!」


 なんか深雪くん、急にめっちゃグイグイきてない!?
 こんなキャラだったっけ!?


「寒いしいいじゃないですか」

「ええ……っ」


 そのまま深雪くんに手を繋がれたまま、光の道の中を歩き出す。
 外の空気は冷たいのに、繋がれた手は温かい。

 深雪くんの温もりが伝わって、ドキドキする。


「一応待ちますけど、あんまり待てなかったらすみません」

「えっ」

「頑張って我慢します」

「何を!?」


 私はとっくに運命の人に出会っていた。
 ただ気づかずに間違えていただけ。

 今はまだ受け止めるだけでいっぱいいっぱいだけど、私の本当の運命の恋はきっとこれから始まる――。



fin.