深雪くんと運命の恋



 やばい、不覚にもドキッとしちゃった――……。

 深雪くんのマフラーはもこもこで温かくて、深雪くんの匂いがした。
 優しくてまたドキドキした。

 ちら、と隣の深雪くんを盗み見る。
 光に照らされた深雪くんの横顔は、ものすごく綺麗だ。改めて見ると、深雪くんって本当に綺麗な顔してる。


「晴瑠さん」

「へっ!?」


 急に話しかけられて変な声出ちゃった。


「あれじゃないですか?」

「あ……」


 目の前にはピンクのライトで作られたハートがあり、その中には鐘があった。
 運命の鐘だ。

 先に来ていたカップルが鐘を鳴らしている。
 寄り添いながら鐘を鳴らして、すごく幸せそう。

 いいなぁ……。


「運命の恋なんてないんだよね」


 私は必死に笑顔を作った。


「少なくとも、私にはなかった!」


 一人で運命だって舞い上がって、バカみたいだった。
 南雲先輩の運命の人は違ったのに。

 でもね、本当に好きだったんだ。
 先輩と色んな本の話をして、お互いおすすめの本を教え合ったりもしてすごく楽しかったの。

 でも私じゃなかった。