「……『エースであることは罪だといわれたが、笑えない』ってなにコレ。自慢にしか聞こえないんだけど。もっと謙虚なことつぶやけよ!」と優香は画面にうつる投稿を読みあげると、足を組んだ。短いスカートの下から太ももがはだけている。
「でっ直は、最近どうなのよ?」
「え、どうってなにが?」
音也(おとや)とうまくいってんの?」
 直は、少し間を置いてうなずく。友人たちは、テンションをアゲているが彼女の顔は晴れやかでない。
「なんかあったの、まさかケンカ中?」
「ううん、そうじゃない」
「じゃぁ、なんよ。その浮かない顔」
「いや……その」と直は口ごもる。
「あぁーあ。私もはやく新しいカレシつくらないと。このままじゃ、夏休みになっちゃうよ! いいひといないかな。こう、おとななひと」
 そうぼやいた優香に真希がいった。
「じゃさ。教育実習生のひとどう?」
「あっ、夜部(やべ)ね! ないない。なんか前髪長いし、暗いじゃん。しかもあのだっさいメガネ。ぜったいオタク」
「しっ。優香、それ偏見」
「だって、やべぇ先生っていわれてたよ。美結、顔みた?」
「残念、みてないよ。ねぇ、直はみた?」