イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。

 映画チケットを発券して、上映時間までを物販を見て過ごす。

 はー、映画楽しみだな。

 ていうか、もう楽しいなぁ……!


「……依澄?」

 突然聞こえた男の子の声に振り返ると、四人グループの中の一人の男の子が依澄くんをまっすぐに見ていた。


「あ。大成(たいせい)


 依澄くんに大成と呼ばれた坊主頭の男の子は、パァッと顔を明るくさせてこちらに駆け寄ってくる。

 人懐っこい目、八重歯が可愛い爽やかな笑顔。

 見るからにいい人そうな元気な男の子だ。


「奇遇~!何観に来たの!?もしかしてこれ!?」

 大成くんは私たちが見ようとしている映画のポスターを示した。

「それ」
 
「一緒だ!俺、今日はサッカー部の奴らと来ててー……」

 と、そこで大成くんが私に気が付いてピタ、と固まった。

「あ、えっと、」