イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。

 依澄くんが離してくれるのを待ってしばらく、私たちは映画館を目指して歩き出した。


「映画、これでよかったですか?」

 依澄くんが道中の柱に大きく飾られた映画のポスターを指さした。

「うん! 見たかったやつだったから」

「原作見たことある?」

「もちろん!」

 今日見る映画は大人気推理小説が原作になっていて、何を隠そう私はその原作のファンだった。

「依澄くんは?」

「シリーズは全部見ました。スズキ警部がかっこよすぎて」

「わかる!今回のお話、スズキ警部がクライマックスで飛び降りるシーンとか大好きだから映像でどうなるのかすっごく楽しみ!」

「あーわかる。俺もそこ楽しみです。あとー…」

 依澄くんと名シーンの話に華を咲かせていると、あっという間に映画館に到着した。