「ちょっと見すぎかな、なんて……」

 語尾を濁らせて言ってみるけど、真顔の依澄くんは穴があくほど私を見つめてくる。

「そう?付き合ってたらこんなもんじゃない?」

「えっ!そうなんだ……!」
 
 カップルってこれが普通なんだ! みんな凄い!
 
「まぁ気にしないで。先輩は普通にしててください」

「ふ、普通に……?」

「普通に」
 
 そう言って依澄くんはまた私をじ、と見る。
 
 うぅ……そうはいっても恥ずかしいものは恥ずかしいよ……。


 依澄くんはこの二週間、会うたび必ずこうして見つめてくる。

 その都度私はどうしたらいいか分からず、顔を熱くさせて俯くことしかできない。

 それは二週間続いたって慣れなくて、未だ対処法がわからない。


 ん……? もしかして私も見返したほうがいい?

 こうやって目を逸らし続けるのって、失礼なんじゃ……!?

 そうだ、おばあちゃんがいつも言ってた、相手の目を見なさいって!

 よし、恥ずかしいけど頑張ってみよう……!

 私は思い切って依澄くんの方に向き直り、依澄くんの目を見返した。