「おいっ! 役立たず聖女。どうせお前は何も出来ないんだから、荷馬車の中ででも怯えて震えていたらどうなんだ」

 馬鹿王子エセルバードに声を掛けられたその時、道中で大量の魔物と戦い、怪我をしてしまった若い騎士に私は包帯を巻いていた。

 そろそろ復活の兆しを見せる強大な魔物に影響されて活性化してしまったのか、普段なら安全なはずの街道近くまで魔物が降りて来ていたらしい。

 今回の旅に役立つような聖女の祝福の力がそもそもわからない私を悪意ある言い方でせせら笑うような王子には正直ムッとしてしまうものの、この馬鹿王子を相手をして良いことが何もないので完全無視だ。

 あれは、三歳児。

 ちょっと大人っぽく見える、可愛い三歳児。甥っ子が三歳児なので、そう思えば腹も立たない。難しい言葉をたくさん話せて、とてもえらいでちゅね~。