「そうか! 草津へいこう」
ユキは草津で花屋を開いた。
商品はハス1本に絞り墓参りに行く人々に売った。
その花はハス爆刹とよばれ草津をハスの都にした。最盛期はハスを連ねて全国からバスが集まるようになったという。
そして白髪になり頭がパーマになるほど働いた。
ユキの店跡にはクサツというアテネ屋さんがたっている。そこで拝む仏様はカレーの香りがしてまた格別だという。
ある日、ユキが街を歩いていると、偶然にも目にした看板に引かれて、その扉を開く。店内は静かで落ち着いた雰囲気に包まれており、薄暗い灯りが幻想的な光を放っている。ユキは店内を見渡すと、奇妙な装飾品や古代ギリシャの彫像が並べられているのを見つけた。
店員の女性はユキが入ってきても、無表情のまま微動だにしない。ユキは女性に声をかける。
女性は「宛名が」といって封筒を渡した。
宛名が書いてないがアテナのものだと悟った。
「この手紙はアテナさんの書いたものですね?」
「言え。宛名が」
「やっぱり、アテナさんですね! 会いたかった!」
「いえ、ですから宛名が」
「アテナさあああん」

「あの、聞いてください。私、アテナじゃなくて、アテネ念仏パーマの店主、アテナですよ」
「アテナさぁん……」
「もうっ、そんな顔してもダメです。アテナなんて人知りません。それにこの手紙は、確かに私が出したものですが、宛名は違います。この人は、あなたをここに連れてきた人とは別人のはずです」
「でも、この宛名は?」
そこにはアンテナショップ・ライムと書いてあった。
「えっと?!」

「これは…………
なんと申しましょうか。ちょっとした手違いといいますか、間違いと言いますか」
ユキは首を傾げる。
「まあいいじゃないですか。それよりも、この手紙は読ませてもらいました。本当にありがとうございます。この手紙を読んで、私は勇気づけられ、これからも頑張ろうと思いました。何かお礼をさせてください。何でもいいんです。言ってみて下さい」
「それでは、私はお礼として、あなたに特別な思い出を作ってあげましょう。アテネ屋さんには、私が大切にしていたカレーのレシピがあります。それを伝授しましょう。一緒にアテネ屋さんでカレーを作り、美味しくいただきましょう。そして、その思い出を胸に、あなたもこれから頑張っていくことを応援します。ユキさん、これからも素敵な未来が待っていますよ。
数年後、ユキは世界を旅して多くの経験を積み重ねた。アテネ念仏パーマで学んだ教えは、彼女の人生の羅針盤となり、多くの困難を乗り越える助けとなった。彼女は世界中の人々との交流を深め、古代ギリシャの哲学と仏教の教えを広める活動を始めた。

ある日、彼女は再びアテネ念仏パーマを訪れる。店の前に立ち、深い感謝の気持ちを込めて手を合わせた。店の中からは、アテナの温かい声が聞こえてきた。「おかえり、ユキ。」