「ズ、ズルい! 出してよ!」

手札を持つ手に力が入る。

文句を言うと、キングはちらりと私を横目で見る。

そして、

「“まだ勝つ気でいるんだ?”」

さっき私が言った言葉を真似した後、「しょうがねーな」とつぶやきながら、テーブルにカードを置いた。

「……っ」

ハートのQを置いてくれたけれど、私はハートのKを持っていない。

「……パス」

最後のパスを使うと同時に、キングはハートのKを置いた。

横並びの列は、最初の7を基軸(きじく)にして、左側は6からA、右側には8からKを置くようになっている。

つまり、Kを置かれても、私の状況は変わらなくて。

「負けた……」

手持ちのカードの数は、私のほうが少ないのに。

肩を落とすと、キングは喉を鳴らしながら笑って、カードを片付けはじめる。

「水城がわかりやすいのは、相手を疑わないからだよ」

「え?」

「置けなくなったら簡単にジョーカーを使ってた。相手に置かせようとか、置くのを止めて追いつめてやろうって考えがない。……カードを早く置いてクリアすることしか、頭になかったはず」

「……っ」

確かに、私は手持ちのカードを全て置くことしか考えていなかった。こんなふうにパスを使われて追い込まれたことがなかったから。

キングは集めたカードをケースに詰めると、片方の手で私の頭を撫でてくる。