──2日後の放課後、私はひとりで第5会議室にいた。

さっきまで一緒にいて、自分の別れさせ屋としての仕事を見せてくれていた潤さんは、生徒会室へ戻る際、

“美甘は今日、サッカー部の助っ人で練習試合に出てるから来ないと思うけど。キングは報告があるから来るはずよ”

そう言って、私にこの部屋の鍵を渡してきた。

前回座った折りたたみの椅子を広げ、同じ場所でぽつんとたたずむ私は、さっきの光景を思い出す。

“生徒会です。書類確認のため、図書委員の皆さんは至急生徒会室までお越しください。繰り返します……”

放送室で流していた、呼び出しのアナウンス。

以前からよく耳にしていた放送が、まさか、別れさせ屋の都合で流されていたものだったなんて。

“これまでは、別の場所も使ってたんだけど、最近はずっと図書室だから。図書委員には申し訳ないけど”

キングの姿が人目につかないよう、放送を使って、生徒を動かしていた潤さん。

自分が依頼主だった頃を振り返ると、確かに、キングと会うときは放送が流れていたような気がするし、図書室に委員がいることは少なかった。