仕方なく、私も自分のスタンプカードを提示した。

「……私、委員会でもずっと態度が悪かったから……謝りたくて」

スタンプを押される間も声をかけ続ける。

相良くんの姿でいる彼に話しかけたって、冷たくあしらわれて終わるだけ。そんなことわかっているけれど、1秒でも早く謝りたかった。

後日を待って時間を置けば、この関係が終わりを迎えてしまうような気がしたから……。

「ごめんなさい」

暗がりの中、テーブルに手をついて、前髪の向こうにあるはずの瞳を見つめる。

彼は黙ったまま、顔を上げ、私にスタンプカードを返してきた。

やっぱり何も言ってもらえない。

肩を落とし、カードを受け取ろうとしていたら……。

「っ!」

彼は、突然、私の手首を掴んでくる。

グイッと手前に引き寄せられ、態勢を崩す私は、思わず、腰掛けていた彼の体を掴んだのだけれど。

彼は小さく笑みをこぼして、そんな私の耳元に唇を近づける。

そして……。

「“今日はどこにされたい?”」

依頼していた頃の、あの言葉を囁いてきた。