暗くて狭い通路。

恐怖心をあおるような音楽が流れる中、私は急ぎ足で歩いていく。

橋に見立てた板の道に踏み込むと、薄く明かりが灯り、置かれていた井戸が照らされる。

「……」

長い髪の毛の女性が、ゆっくり、ゆっくり、這いつくばるような姿勢で出てくるのだけれど。

「ごめんなさい、急いでるので」

時間がかかりそうだから、出てくるのを待たずに先に進んでしまった。

その後も私は、

「うらめし……」

「ごめんなさい!」

次々と出てくるお化け役の生徒に謝って、体にぶつかるコンニャクらしきものも振り払いながら、駆け足で仕掛けを通り過ぎていく。

──そうしてたどり着いた、出口。

「……」

渡辺さんが言っていた通り、相良くんは出口に置かれたテーブルにぽつんとひとりで座っていた。

「……ごめん。後日って言われたんだけど……」

静かに見つめられるから、謝りながら目の前まで行くと、彼は黙ってスタンプを手に取る。