「マチちゃん、それフェイクだから」

「あ……うん」

キス写真をまじまじと見つめていたら、サキちゃんが横からこっそり声をかけてくる。

けれど、その声はキングの耳に入っていたようで。

「水城がピンク頭とじゃれ合ってるから、どーせ撮ってねぇんだろなと思って、二度やったんだよ」

彼はため息混じりに言葉を付け足してきた。

「え……、美甘くんに気づいてたの?」

「ところどころで声が聞こえてきたし、アイツの頭は目立つから隠れててもわかったよ」

「ウソ……。結構、小声で話してたんだけど……」

静かな公園だったから、小声でも聞こえたのかな。

キングの話を聞いて、今回の自分の働きぶりがいかにダメだったのかを思い知る。

「ご、めん……」

今度は声が大きかったことを叱られる気がして、先に謝ったのだが、キングは静かに一点を見つめ、何も言ってこない。

「これ、全部プリントアウトする? 選ぶなら、今日中にどれを送るか連絡入れてね」

サキちゃんはこの後、生徒会での用事があるみたいで、早々に話し合いを済ませようとしている。

だけど、キングは何か考えているみたいで、その声になかなか返事をしない。