──翌日の放課後。

「本当にこれだけしか撮ってねーの?」

「……はい」

メッセージアプリを使って公園での写真を送った私は、あからさまに表情をゆがめたキングにビクビクしていた。

「連打で同じ写真ばっか。こんだけで別れさせられると思う?」

「……っ、無理かな?」

「無理に決まってるだろ。撮れる場面、もっとあったはずだけど? ターゲットが俺の髪を触ったときとか、結構時間を稼いだのに」

「……ごめん。そこは見てなかったかも」

私の返事にキングは険しい表情をする。

苛立ちからか、ソファーに腰かける彼は長い足をガタガタとゆすり始めた。

「まーまー。確かにこれだけじゃ弱いけど、私が撮った写真もあるんだし、十分でしょ?」

割って会話に入ってくるサキちゃんは、今回の依頼用にと作った3人だけのトーク画面に8枚の写真を流してきた。

「……」

商店街を歩くふたりの後ろ姿から、雑貨屋で楽しそうに過ごす場面。頬をつねられるターゲットの顔写真もあった。

それらのどれを見ても、一緒にいるキングの顔ははっきりとわからない状態で、けれど、男の子と親しげであることはひと目でわかるものばかり。

ターゲットの顔写真も、男の子だとわかる大きな手はきちんと入っていた。

そして、いちばん最後の写真は……キスシーン。公園でも同じように顔を近づけていたけれど、またやってたんだ……。