指定されたのは、学校帰りの公園。
駅と反対方向にある住宅街の、木々に囲われた静かな場所だった。
手書きの地図に記されたバツ印のところへ向かい、草木の影に隠れていると、予定通り、後からキングとターゲットにされた依頼人の女子生徒が姿を現した。
地図のマルで囲まれてあるベンチに腰掛けるふたり。
私は言われた通りにスマートフォンを出して、カメラ機能を操作する。
「……何やってるんだろ」
画面に映る彼らの後ろ姿を見つめながら、つぶやく。
振り返るのは、メモと地図を渡された昨日の放課後だった。
“明日、俺はメモに書いてる順で、ターゲットを連れ回す。地図のマル印のところへ行くから、水城にはバツ印のところから写真を撮ってもらいたい”
キングは、自分たちが親しげにしているところを撮るように言ってきた。
バツ印のところから撮れば、シャッター音は聞こえづらいらしく、実際は顔を近づけているだけでも、キスをしているように見えるらしい。
“あと、ターゲットが笑いかけてきたり、俺に触れるときも必ず撮ること。腕に触れたときとかね”
淡々とした口ぶりで、平然と私に指示を出した彼。
その場にはサキちゃんや美甘くんもいたけれど、ふたりは何も言わず、私たちのやり取りを聞いていた。
駅と反対方向にある住宅街の、木々に囲われた静かな場所だった。
手書きの地図に記されたバツ印のところへ向かい、草木の影に隠れていると、予定通り、後からキングとターゲットにされた依頼人の女子生徒が姿を現した。
地図のマルで囲まれてあるベンチに腰掛けるふたり。
私は言われた通りにスマートフォンを出して、カメラ機能を操作する。
「……何やってるんだろ」
画面に映る彼らの後ろ姿を見つめながら、つぶやく。
振り返るのは、メモと地図を渡された昨日の放課後だった。
“明日、俺はメモに書いてる順で、ターゲットを連れ回す。地図のマル印のところへ行くから、水城にはバツ印のところから写真を撮ってもらいたい”
キングは、自分たちが親しげにしているところを撮るように言ってきた。
バツ印のところから撮れば、シャッター音は聞こえづらいらしく、実際は顔を近づけているだけでも、キスをしているように見えるらしい。
“あと、ターゲットが笑いかけてきたり、俺に触れるときも必ず撮ること。腕に触れたときとかね”
淡々とした口ぶりで、平然と私に指示を出した彼。
その場にはサキちゃんや美甘くんもいたけれど、ふたりは何も言わず、私たちのやり取りを聞いていた。