──翌朝、登校すると、下駄箱の前で美奈の姿を見かけた。
女子の誰かと話し込んでいるみたいだけれど、あれは……。
「野木(のぎ)ちゃん!」
近づくと、徐々に、それが自分もよく知る人物だとわかった。
「あ、マチ。おはよう」
「マチちゃん! 久しぶりだね~!」
美奈に続いて微笑みかけてくるのは、1年のとき同じクラスだった野木遥(のぎはるか)。
数少ない友だちのひとりだ。
2年でクラスが別になり、顔を合わす機会も減ってはいるけれど、全校集会や学校の行事で会えたときは、こうやって、よく立ち話をしている。
「どうしたの? 野木ちゃんの下駄箱って、向こうだよね?」
朝なのに、うちのクラスの下駄箱まできて話をするなんて、何か用があったのだろう。
珍しく思って問いかけてみると、美奈が口を開き、代わりに答えてくれる。
「文化祭でイケメン展をやるんだって」
「“イケメン展”?」
首を傾げると、写真部の野木ちゃんは、手にしている自前のデジカメを見せてきた。



