別れさせ屋の仲間になった私の結末

しばらくの間、誰かと連絡をとる様子を静かに見つめていたら、キングは親指を動かしながら「でも」とつぶやいた。

「水城が手伝えることなんて、何もないよ」

“ながら”で、あっさりと告げられた言葉。

「え……」

「だから、店に返品できるなら、した方がいいよ。その変装グッズは」

「っ!? ちょっと待って、話が違う!」

この間のトランプ勝負をなかったことにされ、思わず席を立った。

「私、勝ったじゃん! なんで今更……っ」

「だから会ってるだろ、こうやって」

「でもっ、私、手伝うって……!」

ここ数日、私は勝手に思い描いていた。依頼をこなして、徐々に距離を縮めていく自分たちの姿を。

そして、多少、危険な思いをしても、根をあげないようにと、それなりの覚悟もしていた。

なのに、手伝わせてももらえないなんて……。

「ちゃんと勝負をしたんだから、約束やぶらないでよ!」

身を乗り出して文句を言うと、指をとめたキングはチラッと私の顔を見る。

「ルールを破ってた誰かさんが、それ言っちゃう?」

にんまりと微笑まれた。

「っ……」

言葉を詰まらせていると、彼はスマートフォンをポケットに戻し、

「手伝いにこだわる必要ないだろ。こうやって会ってんだから」

と、心を見透かすような言葉を囁いてきた。