「はい、銀行というのは、簡単に言うと、お金持ちがお金を預けておく場所のことです」

僕は銀行の仕組みを説明した。
すると、銀河神は納得してくれたようで、
――なるほど、そのようなものか。

と言った。

それからしばらく話をして、そろそろ帰る時間になった。
銀河神は
――また来るといい。
いつでも歓迎するよ。

と言い残し、消えてしまった。

銀河神との謁見を終えた俺は、この世界のことや、この星のことをいろいろ調べてみた。

この世界は、地球と同じ環境になっているが、文明のレベルは地球の中世くらいで、魔法が存在している。
しかし、この星には科学力がほとんど存在しないので、高度な科学技術を使える地球人にとっては住みやすいところかもしれない。

ただ、不便さを感じる部分も多くある。
たとえば食事のことで言えば、米が食べたくなったら水田を探して栽培しなければならない。
パンなら小麦畑を探せばよいが、稲作をするとなると大変な手間と時間がかかるだろう。
そもそも水場の確保が大変だし、水質汚染の問題もある。
この世界の植物が地球に存在しているものとは限らない。
仮に地球に存在する植物が存在しなかった場合、品種改良なども必要になるだろう。
そう考えると、かなり苦労することになるだろう。
農業改革にも乗り出さなければならない。
それに、化学肥料が使えないから栄養不足になりかねない。
その点を考慮して食料を生産しなければならない。
そうなると、ますます人口が増えていくことになる。
食糧難に陥った場合の対策も考えなくてはならない。
さらに、この星には存在しない病原菌などの可能性もある。
未知の病気に対する予防策を講ずる必要もあるだろう。
そう思うと気が重くなるが、何とか解決するしかない。
まずは、この世界の生態系を調べておかないと。
この星は、人間が生活するうえで、あまり向いていないような気がするな。

そんなことを考えていた矢先、一人の男がやってきた。

男は黒いローブに身を包み、フードを被っているので顔がよく見えない。

――誰だ? この男。
怪しいな。
と思っていると、その男はいきなり土下座して地面に頭を擦りつけた。

――おい、何やってんだよ! これじゃ、どっちかっていうと不審者じゃないか。

この世界にはこんなヤツもいるのか。
油断できないな。

男は僕の反応を無視して謝罪を続けた。

その男は突然やってきて謝り始めた。
よく見ると震えており、全身汗びっしょりだった。
呼吸も乱れて苦しそうだ。
よっぽど急いでここまで来たのであろう。
とにかく、このまま放っておくと、死んでしまうんじゃないかという感じがしたので、話を聞くことにした。
その前に、この男は一体何者か聞いてみることにした。
すると、その男は、自分はこの国の王子であり、王からの命令でここへやって来たと答えた。

――この国というと、アメーリカ王国か。
ということは……。

そう思い、男の顔をよく見てみると、確かにその男の顔に見覚えがあった。

彼は以前、僕に手紙を渡してくれた人物である。
たしか名前は……
思い出した。
彼はこの王国の第3王子のはずだ。

彼がなぜここにいるのかという理由が気になったが、今はそれよりも、もっと別のことが気にかかっていた。
それはこの男が、なぜ自分に助けを求めるようなことをしたのかということである。
もしやと思い、この世界に来た目的を聞いてみると、やはりこの世界に召喚された理由について知りたいようだ。
そして、この世界にやってくる直前の記憶がなくなっているのだとか。
おそらく、銀河神の力で記憶を消されている可能性が高いとのことだった。

僕はその話を聞きながら、やっぱりと思った。

おそらくこの男は、何か重大な事件に巻き込まれたのだろう。
それで記憶を失ってしまったのだ。
だから、この世界にやってきたのだ。
銀河神が言っていたように、この世界を救う使命を与えられているのかもしれない。
そして、彼はそのために僕のもとへ訪れたのだ。

その後、彼にいろいろ質問をして分かったことは、次のようなことだった。
彼はアメリカにあるハーバード大学の経済学部に所属している学生である。
専攻は金融学だ。

彼は現在19歳で大学2年生である。

趣味はサッカーと映画鑑賞で、特にホラー映画を好んで見ているらしい。

ちなみに、彼曰く、この世界で目覚める前の最後の記憶は自宅の部屋の中で、ベッドの上で眠っていたらしい。
そして、目が覚めた時には見知らぬ洞窟の中にいたのだという。

――もしかしたら、この洞窟に転移させられたのではないか? そう思った僕は、その洞窟の中を調べようとした。
すると、その時、外から誰かが走ってきた。
そして、勢いよく扉を開けると、僕たちの目の前に現れた。
その人物は女で、彼女は手に持った剣を僕に向けて構えている。

――うわぁぁぁ!! ちょ、ちょっと待ってくれぇ~!!! と僕は叫んだ。

その叫び声に驚いて、彼女もまた、 キャァーーーッ! という悲鳴を上げた。

第3王子は一息ついて言った。
「私の名前はアレクサンダー。
あなたがこの世界に送り込まれた理由と同じく、私もまたこの世界を救う使命を担っています。



主人公は答えた。
「だとしたら、私たちは協力するべきですね。



その瞬間、扉が勢いよく開き、一人の女性が剣を持って入ってきた。
しかし、彼女は主人公と王子を見て、剣を下ろした。


「ごめんなさい、私はリリア、この地の守護者です。
あなたたちはこの世界を救うために来たのでしょうか?」


主人公とアレクサンダーは頷いた。


「それならば、私たち三人で力を合わせましょう。
この世界の存続がかかっているのですから」
とリリアは言った。


数ヶ月後、三人は多くの困難を乗り越え、この新しい世界に平和をもたらす方法を見つけ出した。
科学と魔法、二つの力を組み合わせて、新しい秩序を築いたのだ。


主人公はアレクサンダーとリリアに感謝の意を示し、「私たちがこの世界に来た理由は、何か大きな計画の一環であったのかもしれません。
しかし、それが何であれ、私たちはこの世界をより良い場所にした。
それだけで十分です。



アレクサンダーとリリアは同意し、「私たちの使命は終わりましたが、この世界の未来はこれからです。
新たな課題が待ち構えているでしょうが、それもまた新しい冒険ですね」
と笑顔で言った。


そして、三人はそれぞれの世界へと帰っていった。
だが、その心には新しい世界での冒険と友情、そして達成感が刻まれていた。