「こ、この物語はフィクションです。
実在の人物・団体等とは一切関係ありません」

「ほう? じゃ、―――『宇宙戦争』という小説を知っているだろうか???」
「え!?」

男は思わず絶句した。

(なぜ、そのタイトルが出てくるんだ)
「いや、知らない」

「では、『宇宙戦争は現実に起こるか?』という本を読んだことがあるか?」

「ない」

「では、――『銀河ヒーロー列伝』は読んだか?」

「……」

「やはり、読んでいないようだ」

「いや、ちょっと待ってくれ」

「なんだ?」

「お前は電気勇者か?どうしてそのタイトルを次から次に出すんだ」

「それは君の記憶が、この本の内容を憶えてるということだ」

「まさか!」

「君は、自分の記憶力について考えたことがあったのか?」

「そんなこと、あるわけないだろう」

「それはどうだかな」

「なんでお前がそれを言える?」

「それは、私には、君の心の声が聞こえているからだ」

「嘘をつくな! 心が読める人間など存在するはずがない!!」

「そうだ、普通の人には無理だ。
しかし、私は特別な存在なのだ」

「それはどういう意味だ」

「私の名前は銀河神だ」

「はあー? ふざけるのもいい加減にしろ」

「ふむ、では質問を変えよう。
私の顔を見てどう思う?」

「お前の顔だと?」

改めて相手の顔を眺めるが……、まったくもって見覚えのない人物だった。
顔のつくりは日本人に近い。
髪の色は黒ではなく茶色だ。
瞳の色も青っぽい色をしている。
しかし、肌は黄色人種とは違い真っ白だ。
そのせいなのか、とても目立っている。
身長は180センチほどあり筋肉質で、よく見ると鍛え上げられた肉体の持ち主だ。
それに、かなりのイケメンだ。
女性にモテそうな感じだ。

この男が何者なのかは分からないが、おそらく宇宙人であろう。
それくらいしか分からなかった。

男は混乱していた。

相手はいったい何者なのだろうか。

しかし、一つだけ分かることはあった。

それは、自分が追い詰められているということだった。

目の前にいる銀河神と名乗る男は、なぜかはわからないが、こちらの心が読めているようだ。

しかし、自分には、相手の名前も素性も年齢も何もかもわからない。

そのことが相手に知れ渡ったら殺されてしまう。
何しろ宇宙電気勇者は覚醒剤密輸組織のボスだ。
そして、拳銃を所持する危険な人物である。

何か良い方法はないのか……。

必死で考えるが思いつかない。

その時、ふと思い出したように、ポケットの中に手を入れた。

――あった!! ポケットの中には一枚のコインが入っていた。

このコインは子供の時に遊んでいたおもちゃの通貨だった。
裏表で絵が違っており、その図柄を当てる遊びだった。
子供の頃は絵柄がすぐに分かったが、大人になった今では、
「これは……、猫だ」

「正解だ」

「え?」

「お前は、私の名前を言えたはずだ」

「お前は、もしかして俺のことを試したのか?」

「ああ、その通りだ」

「それで、俺は合格だったのかい」

「もちろん、合格だ」

「それは良かった」

「では、私から君に一つ提案がある」

「なんだ?」

「私から君に特別な力を与えよう。
この力を使って、宇宙戦争を阻止し、星神を救えるのだ。
君は宇宙電勇者だから、その力を使うことができるはずだ。
ただし、力を使うことによる代償もある。
君の運命を変える覚悟はあるか?」


男は銀河神の言葉に戸惑いながらも、自分の運命を変えるチャンスを手に入れたことに興奮していた。
彼は少し考えた後、決断を下した。


「私は宇宙を救うために、その力を使います。
どんな代償が待ち受けていようとも、私は受け入れます」


銀河神は微笑みながら頷き、男に手を差し伸べた。


「よし、では契約を結びましょう。
この力を使って、星神の復活を果たすのだ」


男は銀河神の手を握りしめ、心の中で覚悟を決めた。
彼は新たな冒険に身を投じる覚悟を持ちながら、未知の力に身を委ねていった。


そして、宇宙の運命は彼の手に託された。


「では、今から私の能力を与える。
まずは心を落ち着かせてくれ」

「はい」

「目を閉じ、精神を集中させ、宇宙神の姿を思い浮かべるのだ」

「わかりました」

「いいぞ、そのまま続けてくれ」

「……」

「そろそろいいか」

「はい」

「よし、これから君に、特殊な能力を授ける。
君に与える能力は『テレパシー』だ」

その瞬間、彼の頭の中に宇宙神の姿と声が流れ込んできた。
その映像と音声は鮮明であり、本物と変わらないものであった。
宇宙神と直接、交信しているような不思議な感覚であった。

宇宙神は男の頭に語りかけた。

――これが星神との会話だ。
理解できたかね? 男は宇宙神に問いかけられたことで我に返った。
そして宇宙神に返事をした。

――はい、なんとか理解できました。
ありがとうございます。

すると、また宇宙神の声が脳内に流れてきた。

――では、この力で星神を救うのだ。

――はい、必ず使命を全うします。

すると、男は不思議な光景を目にした。
それは、目の前にあるはずのものが透けて見え、背後の風景がはっきりと見えたのだ。

(なんだ、これは?)
さらに、男は宇宙空間を飛んでいるかのような錯覚に陥った。
まるで空を飛んでいる気分になっていた。

そこで
「どうやら上手くいったみたいだな」

と、銀河神が声を掛けた。

男はハッとして銀河神を見つめると、そこには銀河神の姿はなかった。
男は辺りを探したがどこにもいない。

男は慌てて周りを見たが銀河神を見つけることができなかった。

――銀河神様? どこへ行かれたのですか? 銀河神を呼んでみるが返事がなかった。

すると今度は宇宙の景色に変化が訪れた。
星が輝き
「おーい」

と、呼ぶ声が聞こえた。

その声は、先ほどまで聞いていた銀河神の声だった。

「銀河神様、ここですよ」

男は銀河神に呼びかけた。
しかし、銀河神は姿を見せることはなかった。

――星神よ、聞こえるか?
「はい、聞こえています」

――星神よ、君はこの世界を守るのだ。
それが君の運命なのだ。

「分かりました」

――星神よ、私にできることは少ない。
しかし、私は君の味方だ。
いつでも相談に乗る。
困ったことがあったら連絡するんだ。

「はい、銀河神様、ご協力に感謝いたします」