「うーん、どうかなぁ?」


「え!?やっぱり自意識過剰?俺、調子乗ってる?」


「そうかもねぇ。」


「えー?」


ちょっと残念そうにする大和の横で、雪奈はまたクスクス笑った。


ふと、また夜空に目線を送る。


相変わらず白くて細い、折れそうな月。



──二宮くんは、独りぼっちの私に気付いて、見つけてくれたね。



見つけて。


気付いて。


そんな壊れてしまいそうなくらい小さな願い持つ雪奈を、

大和は必死で見つけて、その願いをも、叶えてくれた。



「…ありがと。大和くん。」



赤信号で立ち止まっている間、こっそり名前で呼んだ後、大和の肩にもたれかかってみた。


車の行き交う音に掻き消され、名前で呼んでみたのは聞こえていないはず。


そう思っていたが、大和の顔は、イルミネーションのオレンジ色を受けていることもあり、真っ赤に染まっている。



そんな2人の頭上にある、細くて折れそうな月。


星も輝く夜空で、その月も、

淡く白い光を放ちながら、

夜遅くまで、光り続けていた。


fin.