(あ、そうだ、メールを打っている途中だったっけ)
自立というワードで幼馴染みを思い出す。メールの宛先、峯岸斗真は今や世界的シューズメーカーの代表取締役を務め、女性の足元を支えている。
いつか斗真さんが作ったガラスの靴を履くのが夢であったが叶いそうもない。携帯電話からメッセージアプリを開き、結婚する旨を簡潔に送信した。
斗真さんのイタリア修行を機に始まった定期連絡もこれで最後か。ひょっとしたら彼はやめ時を探していたかもしれない。私が知らせる内容は庭の花の様子、友人とのやりとり、読んだ本の感想など刺激はなく退屈させたと思う。
それを分かってる上で私は今日までメールを送り続けたんだ。斗真さんとの繋がりを断ちたくなくて。
感傷に浸りながらディスプレイを見詰めていると既読マークがつき、程なく手元が震えた。
着信の相手はーー斗真さん。
しかし車内にいる為、出られない。コールは一旦途切れるもすぐ掛け直された。
鳴り止まない電話を抱き締め、ひとまず次の駅で降りる事にする。
自立というワードで幼馴染みを思い出す。メールの宛先、峯岸斗真は今や世界的シューズメーカーの代表取締役を務め、女性の足元を支えている。
いつか斗真さんが作ったガラスの靴を履くのが夢であったが叶いそうもない。携帯電話からメッセージアプリを開き、結婚する旨を簡潔に送信した。
斗真さんのイタリア修行を機に始まった定期連絡もこれで最後か。ひょっとしたら彼はやめ時を探していたかもしれない。私が知らせる内容は庭の花の様子、友人とのやりとり、読んだ本の感想など刺激はなく退屈させたと思う。
それを分かってる上で私は今日までメールを送り続けたんだ。斗真さんとの繋がりを断ちたくなくて。
感傷に浸りながらディスプレイを見詰めていると既読マークがつき、程なく手元が震えた。
着信の相手はーー斗真さん。
しかし車内にいる為、出られない。コールは一旦途切れるもすぐ掛け直された。
鳴り止まない電話を抱き締め、ひとまず次の駅で降りる事にする。

