「ーー夫婦? 笑わせるな! 仮にも妻に迎えたい女性が森に入って、心細いと泣いているんだぞ? それを放って熟睡する神経が分からない! 分かりたくもないがな!」
「や、やめて! 斗真さん!」
掴みかかりそうな雰囲気を慌てて止める。
浅田さんが私をこれっぽっちも愛していないのは承知していても、あれから捜索せず寝ていたと知らされ惨めになった。
「斗真? 君は峯岸斗真なのか? 何処かで見た顔だと思ったが、そうか、なるほど」
斗真さんの素性に気付き、浅井さんはすかさず携帯電話を構えてシャッターを切る。斗真さんは惨めさで震えた私の肩を抱き、言い逃れが出来ないポーズをしていた。
「女性靴をメインで扱う企業の代表が人の婚約者に手を出すなんて。世間はどう思うだろうな? イメージが悪いよ?」
私が今更でも距離を作ろうと身を捩ると、斗真さんは逆に密着を強めようとする。
「そんな写真でいいのか? お望みならもっと親密な写真を撮らせてやってもいいが?」
浅田さんの脅しは全く効いておらず、それどころか私を後ろから抱き締め、髪へ口付けを落とす。
「姫香、俺はこの恋が彼によって公表されても構わない。俺が初恋の相手の為に靴を作っている事は皆、知っている。なにせそれが企業のアイデンティティだ」
「や、やめて! 斗真さん!」
掴みかかりそうな雰囲気を慌てて止める。
浅田さんが私をこれっぽっちも愛していないのは承知していても、あれから捜索せず寝ていたと知らされ惨めになった。
「斗真? 君は峯岸斗真なのか? 何処かで見た顔だと思ったが、そうか、なるほど」
斗真さんの素性に気付き、浅井さんはすかさず携帯電話を構えてシャッターを切る。斗真さんは惨めさで震えた私の肩を抱き、言い逃れが出来ないポーズをしていた。
「女性靴をメインで扱う企業の代表が人の婚約者に手を出すなんて。世間はどう思うだろうな? イメージが悪いよ?」
私が今更でも距離を作ろうと身を捩ると、斗真さんは逆に密着を強めようとする。
「そんな写真でいいのか? お望みならもっと親密な写真を撮らせてやってもいいが?」
浅田さんの脅しは全く効いておらず、それどころか私を後ろから抱き締め、髪へ口付けを落とす。
「姫香、俺はこの恋が彼によって公表されても構わない。俺が初恋の相手の為に靴を作っている事は皆、知っている。なにせそれが企業のアイデンティティだ」

